「京都緊急集会」(2010.11.19)で採択された要請書

 共催した集会で採択した要請書です。


2010年11月19日
内閣総理大臣 菅直人 様
文部科学大臣 高木義明 様
内閣官房長官 仙谷由人 様

朝鮮学校への速やかで無条件の「高校無償化」適用を求める要請書

 さる11月5日、高木義明文科大臣は、いわゆる「高校無償化」制度の適用基準に関する「規程」および「談話」を発表しました。しかしながら、朝鮮学校への制度適用が決まったわけではなく、未だこの問題は宙づりになっています。わたしたちは、外国人学校のなかでも朝鮮学校のみがこのような扱いを受けてきたことを不当だと考えます。
 そもそも、文部科学省が制度を適用する外国人学校を公表した4月の時点で、高校段階の課程を有する朝鮮学校は当然そのなかに含まれるべきものでした。ところが、大使館を通じて教育課程が確認できるか、国際的な学校評価団体の認定を受けているか、という一見客観的にみえる基準を導入したことで、巧妙に朝鮮学校のみが例外扱いされました。その後、「高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議」で適用基準が審議され、8月30日にその報告が出されました。しかしながら、この際にも朝鮮学校に対する悪意ある意見等に政府・与党が左右された結果、再び結論が引き延ばされました。民主党内の議論を経てようやく公表されたのが、今回の「規程」と「談話」ですが、ここで公表されたのも基準だけであり、朝鮮学校への適用が未だ決定されていません。日本の高校や高等専修学校、そして他の外国人学校に通う生徒たちには、既に4月から「高校無償化」が適用されているのに、冬を迎える今になっても、朝鮮学校に通う生徒たちだけは取り残されているのです。
 また、他の学校であれば就学支援金に関する報告資料を3年ごとに提出すればよいところ、この「規程」が適用された学校の場合は毎年出さなければならないなど、差別的な条件を課しています。それに加えて「規程」には、文部科学大臣が各学校に対して「留意事項」を通知し、その履行状況の報告を求めることができるとの条文が含まれています。「談話」では、この「留意事項」の例として「我が国の高等学校の政治・経済の教科書を教材の一つにする」ことが挙げられていますが、これは政府が具体的な教育内容にまで踏み込み得ることを示唆しており、大きな問題をはらんでいます。
 このことは、国連をはじめとした国際社会からも、子どもの人権・教育権問題として強い関心をもたれています。
 以上の点から、わたしたちは、朝鮮学校に対し、無条件で速やかに「高校無償化」制度を適用することを求めます。

朝鮮学校への無条件で速やかな『高校無償化』適用を求める京都緊急集会」参加者一同


2010年11月19日
京都府知事 山田啓二 様
京都府教育委員会教育長 大橋通夫 様
京都府議会議長 林田洋 様

朝鮮学校への教育助成の継続を求める要請文

 本年からはじまったいわゆる「高校無償化」制度に関しては、法令の適用をめぐって様々な議論が交わされましたが、なかでも焦点化したのが朝鮮学校への適用でした。ところが、たいへん奇妙かつ残念なことに、そうした議論に便乗するかのように、いくつかの都道府県において、これまで何ら問題なく支給されていた朝鮮学校に対する教育助成が見直されるなどの動きが見られます。
 特に大阪府では独自の基準を設け、それをクリアしない限りは補助金を支給しないとし、今年度分の補助金の執行を留保しています。そのため、大阪の朝鮮学校では学校運営に大幅な支障をきたしています。神奈川県知事は経常費補助の12月分支給の内示を留保し、自ら朝鮮学校の教育内容を視察する方針を出しています。また、東京都知事も見直しに言及しています。こうした都道府県の動きは、政治・外交の問題を教育の場に持ち込み、教育助成を盾にとって、朝鮮学校の教育内容に介入しようとする不当な措置・判断であるといわざるを得ません。
 京都府では、幸いなことに、現時点でそのような動きは見られません。様々な国籍の外国人が集まる京都において、外国人学校への教育助成がおこなわれることは当然だと考えます。今後も京都府が、これまでと同様に、朝鮮学校に対し教育助成をおこない、なおかつ助成金を増額していくことをあらためて要請します。

朝鮮学校への無条件で速やかな『高校無償化』適用を求める京都緊急集会」参加者一同