パブリックコメント(1)

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匿名
今回の案は、朝鮮学校の排除だけを目的とするもので、明らかに差別であり人権侵害です。国交がない国でも、日本政府が高校学校相当との判断をして適用している外国人学校があるのに、そして朝鮮学校も適用申請をずっと以前からしているのに、朝鮮学校だけ、適用を恣意的に遅らせた挙句、基準を変更するなど、手続的にも違法は明らかです。
文科省は「いじめをなくそう」などと言っていますが、これがイジメでなくて何ですか。
朝鮮学校やそこに通う子ども達、保護者が、拉致に加担しましたか。砲撃をしましたか。何の責任がありますか。本人達に責任の無い事で不利益を課するとは、重大な差別であり人権侵害ですよ。絶対に許されません。
日本人として、恥ずかしくて仕方ありません。私には愛国心がありますので、自分の国の政府がこういう差別を平然と行う劣等な政府である事実を突き付けられることは、大いに苦痛です。
改悪案には絶対反対です。

川瀬 貴也さん
 私は今回の法改正案に対して反対を表明します。
 今回の改正案は(ハ)を削除することにより、日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できる学校に在籍する生徒と、そうでない学校に在籍する生徒を差別的に扱うものですから、民族教育の権利の保障(自由権規約27条)とこれに関する平等原則(憲法14条、自由権規約2条、社会権規約2条、子どもの権利条約2条)等、各種法律や条約に違反していると考えられます。
 今回の朝鮮学校に対する(今回の法改正では他の学校の事例も想定されているかも知れませんが、具体的に見当たりませんので、ここでは朝鮮学校がその対象であると解釈します)差別的な対応で、朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)との外交関係に改善をもたらそうとする意図(目的)は正当化されないと思います。そもそも教育を受ける機会の平等は、政治・外交問題等に左右されてはならないのは、言うまでもありません。なお高校無償化法案について、朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁措置の実施等を理由に2010年から対象校にするか否かの審査が止まったままですが、その間、拉致問題、核開発に関しては何らの進展もみられず、いたずらに差別的対応を長引かせているだけと言えるでしょう。
 また、これまでも朝鮮学校の教育課程に関する情報に関する情報は、「大使館」が存在しなくても認可を受ける際に必要に応じて提出され、朝鮮学校自らが当局に対して適切に情報を提供しています。そしてほとんどの大学は朝鮮学校卒業生に入学・受験資格を認めています。
 本改正案は、特定の出自・国籍に基づく不当な差別と言わざるを得ません。また、事実上、朝鮮学校を狙い撃ちにするものであって、差別を助長・促進します。よって反対を表明します。

高林 敏之さん
【高校無償化法施行令改正に関するパブリックコメントについて】
 私は国際NGO理事を務める国際関係研究者(45歳、男性)です。本件改正案については人権侵害であることはもちろん、法的整合性を全く欠いた法治国家にあるまじき内容であり、反対します。
 このコメントでは法的整合性に関する問題点を挙げます。
1、「大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(民族系外国人学校)」の判断
 各種の閣僚発言や報道に照らして、この規定を厳格適用することにより、「国交がなく(国家承認すらせず)大使館のない朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」)の高校相当課程と判断できない」朝鮮学校を、就学支援金の支給対象から除外する意図は明らかです。
 しかし、この理屈に拠るならば、台湾系の中華学校も適用対象から外さなければ法的整合性がとれません。
 そもそも省令本文には「大使館を通じて」という文言はありませんし、政府も説明する通り、台湾については実質的な外交代表部の機能を果たす「台北駐日経済文化代表処」を通じて中華学校の教育課程について確認できます。日台の歴史的関係に照らしても、人権の側面からも、台湾系中華学校を適用対象としていることは妥当です。
 しかし、それならば、台湾と同様の歴史的関係を日本との間に持ち、在日本朝鮮人総聯合会北朝鮮政府の政令によりパスポート発給権を持つ事実上の外交使節に指定されています)が実質的な外交代表部としての機能を果たしている北朝鮮とつながりを持つ学校(朝鮮総聯の傘下団体が運営するという意味で)も、同様に適用対象とされなければ法的整合性がありません。そもそも、わずか23か国と国交を有するのみである台湾系の学校の教育課程は確認でき、世界160カ国と国交を有する国連加盟国である北朝鮮系の学校の教育課程は確認できないという理屈は、国連の各種人権委員会で通用するものではありません。
2、現行省令(ハ)項により文科相指定を受けている学校をどうするのか
 すでに(ハ)項により就学支援金給付の対象となっている学校が2校存在します。これらについては、「当分の間、就学支援金制度の対象とする旨の経過措置を設ける」とのことなので、当該2校もいずれ、どこかの国の高校相当課程と認定されるか、欧米の学校評価団体の認定を受けることが求められるのでしょう。
 しかし、これは当該2校のひとつコリア国際学園に多大な困難を与えます。南北分断を越えた在日コリアン国際人の育成を建学精神とするこの学校に「韓国の学校」としての認定を求める道は選べず、民族アイデンティティを育むことを教育理念のひとつとする以上は欧米系インターナショナルスクールとしての認定など論外だからです。ゆえに本件改正案は、朝鮮学校排除にとどまらぬ問題を生むことになるでしょう。一度就学支援金の給付対象として認定した学校を除外することは生徒たちの人権を侵害するものであり、国内外での法的紛議を呼び起こすでしょう。
3、「少数民族」の独自教育権を認める国際人権法への違反
「2」で挙げたコリア国際学園の例は、「国家」の型枠に民族的な教育を押し込もうという本件改正案の発想の誤りを、明確に実証するものです。
 そもそも、朝鮮学校にしても本来の意義は在日朝鮮人の民族アイデンティティの維持・継承です(朝鮮学校の教科書における北朝鮮国家教育の要素が限られていることを私も自分で読み確認しています)。自由権規約第27条および児童権利条約第30条は、締約国に居住する少数民族は「自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」と定めています。これにより在日朝鮮人(日本で生まれ育ち数世代を経た市民である以上は事実上の少数民族ですし、これら国際人権条約は国籍を問わず「すべての者」「すべての児童」の権利保障を規定するものです)が自らの文化や言語を享有し継承する民族教育の権利は国際法的に保障されており、ゆえに国連の各種人権委員会から朝鮮学校の公的処遇に関する再三の是正勧告が出されているのです。
 したがって、日本政府はこれら国際人権諸条約の締約国として、それら条約が保障する「少数民族」の独自教育権保障の文脈から朝鮮学校等の子どもたちへ就学支援金支給などの公的保障を行う義務があるのです。それを、いずれかの国家や、民族性継承と無関係なインターナショナルスクールと結びつける本件改正案は、これら国際法規定に反するもので、国際的非難は免れません。
 結論として、外形的に差別と見えない形で朝鮮学校のみ排除しようという、両立しない命題を無理に法制化しようとするから、矛盾だらけの案になるのです。もはや小手先の策を弄さず、朝鮮学校を就学支援金給付対象と認めるべきです。

【高校無償化法施行令改正に関するパブリックコメントについて(追加論点)】
 本件改正案について反対の立場から、法的整合性に関するもの以外の追加の論点を挙げます。
1、文部科学大臣指定のための審査結果を待っていた朝鮮学校関係者に与える苦痛と損害
 本件改正案が成立するならば、現行省令(ハ)項による就学支援金給付対象と認められるための審査を受けるべく朝鮮学校の運営者が費やした多大な労力、また数年来「審査結果待ち」の状況に置かれてきた朝鮮学校の生徒、保護者、教職員方の心労は、すべて踏みにじられることになります。
 現行省令は国家が定めたものであり、いわば関係者に対する国家の法的な約束です。文科大臣指定のための個別審査が制度化され、かつ、専門家会議が「教育内容を問わず外形的基準(専修学校の設置基準相当の教育課程)により適用の可否を判断する」としたからこそ、明らかに専門家会議の示した基準を満たす朝鮮学校は、その法令に従って準備をしてきたのです。
 すでに審査のための書類は提出され、結果を待つのみの段階でありながら、審査プロセスの状況も明らかにされぬまま、「政権が変わったので審査そのものをなかったことにします」というのは、あまりにも無責任で、およそ法治国家にふさわしいものではありません。
 そもそも、国際人権諸条約の条文の履行に関わる法令は、締約国の政権交代により左右されることが許されないものです。それが国際社会の常識です。朝鮮学校関係者はまさに「国家の嘘」によって、精神的・物理的な苦痛と損害を負わされることになるのです。損害賠償を求める法的係争を争うために、日本国家は無益な資金とエネルギーを割くつもりでしょうか。
2、各種学校でないブラジル人学校等が支給対象と認められる省令改正こそ
 現状では、文科省により大学受験資格を有する学校と認められながら、各種学校認可を受けていないため就学支援金の給付対象となっていないブラジル人学校等があります。大学受験においては高校同等と認められるのに、公的支援に関しては高校扱いしないというのは、明らかに法的整合性がありません。朝鮮学校に加え、これら学校を就学支援金給付対象とできるような省令改正こそ行うべきです。



呉 晟佑さん
施行規則(ハ)を削除するという事で、全国に10校ある朝鮮高校に対するこの法律の適用を完全に除外するものである。
これは、同法の成立の精神を踏みにじり、日本国憲法国際人権規約人種差別撤廃条約などに抵触し、在日朝鮮人の正当な民族的権利を蹂躙するものである。
日本国政府が同法をこの様に改悪する事は絶対に許されることではない。
むしろ、過去3年間、適用を先延ばしにしてきた事を真摯に反省し、朝鮮学校関係者および支援者に誠実に謝罪する事こそ先決である。

北川 知子さん
本省令案に反対します。最大の理由は、本省令案が朝鮮学校を「無償化」制度から排除することを目的としているからです。
朝鮮学校の歴史は日本の植民地支配抜きに語れません。朝鮮・台湾からの渡日労働者は1920年代から漸増し、1940年代には日本生まれの子どもたちがいました。現在でも日系ブラジル人などの渡日労働者の子どもたちが、親よりも日本語に堪能/母国語を喪失しがちであることは珍しくありません。文科省のみなさまなら、その点はよくご存知かと思います。植民地支配から解放され、帰郷を考えた親たちがわが子の朝鮮語の能力に不安を覚え、帰郷準備の一つとして朝鮮語を学ばせる場を求めたのは、自然の成り行きでしょう。しかし折からの東アジア情勢/東西冷戦の深刻化のもと、GHQと日本政府は朝鮮学校共産主義に傾くことを恐れて弾圧、強制的に解散させました。思えばこの時代から、朝鮮学校は「朝鮮語・朝鮮の歴史を学びたい/学ばせたい」という素朴な保護者の思いに支えられる一方で、国際情勢に翻弄されていたわけです。そして日本政府は一貫して、朝鮮学校を私立学校として認可しない法体系を維持し続けており、その冷淡さの延長に「高校無償化」制度からの除外も生じたと私は考えています。そして国際情勢にせよ、日本政府の方針にせよ、それは朝鮮学校の外側の都合であり、在日朝鮮人の教育欲求をそぐことにはなりませんでした。それゆえに、幾多の困難を経ながらも朝鮮学校は再建され、今日に至ります。再建初期(1960〜70年代)、北朝鮮から財政面・教材面で支援を受けていたことは確かですが、いまはほとんど支援のない状況で資金繰りも苦しく、教員の給料遅配、校舎補修の滞りといった問題を恒常的に抱えています。通学生徒は在日コリアンの3〜5世がほとんどで、保護者も日本で生まれ育った日本の市民です。彼らは地域社会で市民としての責任(勤労や納税、地域行事への参加など)を果たしています。東北大震災、阪神淡路大震災時は、朝鮮学校も避難者を受け入れ、炊き出しを行い、地域の学校として国籍や民族に関わらず住民を支えました。この数年来、「教育内容の偏向/反日教育」といった偏見を糾すために積極的に交流、取材等を受け入れている朝鮮学校は、日本の学校よりも「開かれた学校」です。つまり朝鮮学校は正々堂々と開示努力をしているにも関わらず、少数派であり、身近に朝鮮学校に触れることができる日本人も限られているため、なかなか偏見は減らず、いわば蟷螂の斧です。その朝鮮学校とコミュニティの努力を正当に評価せず、偏見に迎合することが、民主主義国家日本のあるべき姿といえるでしょうか。
 私が非常勤講師をする大阪教育大学にも、朝鮮学校出身の学生がいます。彼らは朝鮮語と日本語のバイリンガルで、複眼的思考をもつ人材です。大阪府・市の教員採用試験に合格し、公立学校の教壇に立つ卒業生もいます。これは朝鮮学校で教育を受けた学生の能力が、日本の学校で教育を受けた学生に何ら劣らないことの証明ともいえるでしょう。もともと教育課程も教科書も、日本の学習指導要領を参照しながら作られているのですから当然です。加えて、継承語指導として、イマージョン教育/バイリンガル教育に長年取り組んできた朝鮮学校は、グローバル人材の育成/外国語教育を推進する現今日本の教育現場にとって、参照できる指導理論や指導法・教材の宝庫です。朝鮮学校を差別し排斥する文教政策と、朝鮮学校との実践交流や相互研修を取り入れる文教政策の、どちらが日本の子どもたちの学力/語学力形成に役立つか、お考えください。また「日本の学校に通えばよいのだから教育権の侵害はない」という意見がありますが、これは「マイノリティの教育権」に関する理解不足です。なぜなら、日本の学習指導要領に基づき、日本の検定教科書使用を義務付けられた日本の学校は、「(マジョリティの)日本民族教育」学校であり、マイノリティの文化や歴史を学ぶ場ではないからです。多住地域の学校で、総合的な学習の時間等を使った多文化/国際交流実践を行う学校はありますが、現場の判断と努力に負うもので、制度的に保障されているわけではありません。圧倒的な日本語モノリンガル社会である日本において、マイノリティが独自の言語文化を維持することは極めて困難です。児童の権利条約等でマイノリティの教育権について特に言及があるのも、こうした事情を踏まえているからです。朝鮮学校がもつバイリンガル教育のノウハウは、日本のなかの朝鮮学校だったからこそ蓄積できた財産であり、この財産を守ることが、国際人権規約や児童の権利条約の精神に沿うことです。
 以上、提示された省令案に反対するとともに、「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外を直ちに改め、生徒たちに日本の高校生同様の権利を保障することを求めます。

北川 知子さん
結論:本省令案に反対します。
高等学校の無償化は、「高校・大学までの段階的な無償化」を定めた国際人権A規約(13条2項b、c)を実行するための第一歩であり、昨年9月、この「留保」撤回が閣議決定され、国連に通告されました。教育権保障の前進は喜ばしいことであり、政権与党の交代によって後退しないよう、切に願います。しかし今回の「改正」案は、私立学校認可外になっている外国人学校(国際学校含)に通学する生徒への本制度適用について定めた(イ)(ロ)(ハ)の条件から、(ハ)を削除する、明らかな後退案です。(イ)(ハ)のみ「高校無償化」制度を適用するということは、日本で暮らす、日本以外の国や地域にルーツをもつ人びとが独自にルーツを学ぶための学校/「国家」とのつながりを特に持たない学校は、すべて除外されてしまいます。マイノリティの教育権侵害を避けるはずの(ハ)条項を削除するのは言語道断です。2010年以来この(ハ)条項の指定審議の対象から朝鮮学校を除外してきた措置を追認し、さらに今後は法制度的に完全に排除する、人権侵害を宣言する「案」だともいえます。
「高校無償化」制度から朝鮮学校を排除し続けていることは、既に前述した国際人権A規約、および児童の権利条約に定められた教育権の侵害に当たります。児童の権利条約第28条第1項b「種々の形態の中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる」とあるのに、日本で生まれ育った15歳〜18歳の朝鮮学校生が「財政的援助」から除外されているのです。同じく児童の権利条約第29条第1項c「児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること」、第30条「種族的、宗教的若しくは言語的少数民族又は原住民である者が存在する国において、当該少数民族に属し又は原住民である児童は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」等のマイノリティの教育権保障を定めた条文にも違反しているといえ、現に2010年2月24日にジュネーブで行われた国連人種差別撤廃委員会日本政府報告書審査において「朝鮮学校は、税制上の扱い、資金供与、その他、不利な状況に置かれている」「すべての民族の子どもに教育を保障すべきであり、高校無償化問題で朝鮮学校をはずすなど差別的措置がなされないことを望む」といった指摘がなされています。つまり、国際的には日本が重大な人権侵害国家だと指弾されている状況にあり、そのうえこの「改正」を実行すれば、国際社会に背を向け、民主主義の実践から後退する道を日本が選択したということになります。私は日本で生まれ育った市民の一人として、日本社会の民主主義の発展に背を向け、国際社会からの孤立を招きかねない本「改正」案に断固反対です。
 2012年12月28日の閣僚懇談会の場で、下村博文文部科学大臣が「朝鮮学校については、拉致問題の進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、現時点の指定は国民の理解が得られないので、不指定の方向で検討したい」と提案し、安倍晋三総理大臣が「その方向でしっかり検討してほしい」と返答、その場で了承されました。しかしながら、「国民の理解が得られない」ならば得られるように努力するのが政府として成すべきことですし、拉致問題解決に進展がない原因は朝鮮総連朝鮮学校にあるのでしょうか。朝鮮学校に通う生徒を、日本の学校に通う生徒より不利な状況におくことが、拉致問題の解決に結びつくのでしょうか。下村大臣の発言は、国民が朝鮮学校の生徒を「高校無償化」制度から排除することが拉致問題の解決に「結びつく」と考えているから政府がそれに追従するのだと述べているように解せます。では、少なくない国民が放射能汚染・原発事故への不安を訴え、原子力発電に頼らないエネルギー政策の必要性を考えていることに追従しないのはなぜでしょうか。「世論/国民の理解」のありようを、そのときどきで都合よく利用する政府を、国民の一人として私は信用できません。拉致問題や「ミサイル」発射問題といった課題は外交で解決すべき課題であり、日本に暮らす高校生の教育権侵害を正当化する理由にはなりません。「国民の理解が得られない」のは、国民がこの点を混同しているからであり、政府として成すべきは混同を糾すことでしょう。政府が率先して混同し、教育権侵害に加担するなど、民主主義国家日本の政権として恥ずべきことだと考えます。

朴 卓さん
省令改正の本質は朝鮮学校を狙った露骨かつ悪質な攻撃だと解釈しています。そもそも最初から当然のごとく適用される条件を満たしていたにも関わらず、わざわざ「審査」し、その結果地方自治体の中で補助金を凍結する事態にまで発展しています。省令改正も必要なければ審査も必要なかったはずです。省令を改悪しないことはもちろん、これまで苦痛を強いてきた事への謝罪、そして2010年4月に遡って支給することを強く求めます。

今井 浩一さん
朝鮮高級学校に無償化を適用お願いいたします。拉致問題朝鮮総連など政治問題と、子供たちの健やかな育成とは別次元の問題です。
文部科学省は率先して差別をなくしてください。このままなら差別行政として両国の関係をこじらせるだけです。

吾郷 健二さん
朝鮮学校にも当然のこととして「高校無償化」を適用するべきである。
朝鮮高校とその生徒は、拉致問題には何の関連もないし、朝鮮総連
各種決定にも何の責任も有していない。
それは在日朝鮮人のための正当な教育機関であり、法に則って、
そのように認可されている。
通常の高校とは異なる措置を行なうことは民族差別であり、差別禁止国際条約にも、
国際人権規約にも反する誤った措置であり、日本人として恥ずべき行いである。
国民の一人として、日本政府の恥ずべき行為に抗議して、撤回を要求する。

米田 俊彦さん
省令改正に反対です。
(1) 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下「法」と略記する。)は、高等学校およびそれに準じる教育を受けるすべての子どもの教育費を無償にするという理念を具体化したものです。昨年9月、本法の実施をふまえて、日本政府は大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約第13条第2項(b)および(c)の適用の留保の撤回を国連に通告しましたが、この事実に本法の趣旨が如実に示されています。省令は、私立高等学校や高等学校に類する課程をもつすべての学校に学ぶ生徒に就学支援金を支給できるように、対象となる学校を漏れがないように定めています。その規定の一部を削除することは、意図的に対象から除外される子どもを作り出すこと(つまり差別)を意味します。法の趣旨にも正義にも反する行為です。
(2) 廃止を予定している省令第一条第一項第二号ハに関しては、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定に基づく指定に関する規程」が2010年11月5日に公示されています。この規程が公示された際の文部科学大臣談話では、朝鮮高級学校が本規程に基づく審査を申請することが見込まれると、具体的に朝鮮高級学校の名前を挙げつつ、「今後、この規程に基づき、審査を厳正に行い、高等学校等就学支援金制度の運用の適正を期してまいります」と述べています。この厳正な審査が継続中であることは、昨年11月、文部科学省の担当官の方から私自身が直接伺って確認したことでもあります。しかも、来年度予算案に朝鮮高級学校への支給が決定された場合の2億円が計上されていることを見ても、審査が継続中であることは明らかです。現に生きて活用されている省令の規定の廃止は、あまりにも乱暴な行政権限の濫用です。
(3) 12月28日に下村文部科学大臣が記者会見において、朝鮮高級学校を不指定にすることとした理由を述べています。拉致問題の進展がない、朝鮮総連と密接な関係にあり教育内容、人事、財政にその影響が及んでいること、の2点でした。いずれも法が成立する前から指摘されていることがらです。法の制定以後に発生した事実であって、法の趣旨実現に抵触することがらであれば、法が改正されておらずとも省令を改正する理由は立ちますが、法の制定以後に新たに発生した事実がない以上、省令を改正する正当な理由も存在しません。政権や大臣が替わったことによって、教育を受ける権利が保障されたりされなかったりするようなことはあってはなりません。

駒込 武さん
 「高校無償化」制度にかかわる省令を改悪することにより、外国人学の適用対象を狭める措置に反対します。
 もしもこうした措置が行われるとしたら、それは日本国家が1981年に批准した「難民の地位に関する条約」に抵触します。同条約は「難民」としての性格を持つ在日外国人に対して「公的扶助及び公的援助に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与える 」(同条約第23条)こと、教育については「授業料その他の納付金の減免並ひに奨学金の給付に関し、できる限り有利な待遇を与えるものとし、いかなる場合にも、同一の事情の下で一般に外国人に対して与える待遇よりも不利でない待遇を与える」(同条約第22条)ことを定めています。この条約が朝鮮籍韓国籍の人びとを対象として包含していることは、条約の批准にともなって国民年金法や児童扶養手当法などから国籍条項が撤廃され、韓国籍、さらに朝鮮籍の在日外国人にもこれらの法が適用されるようになった経緯からも明らかです。
 もしも奨励改悪により適用対象を「大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できる」学校や「国際的な学校評価団体から認定された」学校に限定したとするならば、それは外交上の関係のある国家に属する外国人に比して、「難民」的な立場にある在日外国人に「不利な待遇」を与えることを意味します。これは「難民の地位に関する条約」に明確に反する措置です。
 そもそも、特別永住者たる朝鮮籍韓国籍の外国人は、税法上は「(非永住者以外の)居住者」として「国の内外で生じたすべての所得」について日本国籍保有者と同様の納税の義務を課されているという重大な問題があります。もしも「高校無償化」の措置から朝鮮学校を除外するとしたら、朝鮮学校コリア国際学園に子どもを通わせる朝鮮籍韓国籍の保護者たちは、納税の義務を負いながら参政権を剥奪されているばかりでなく、税金を財源とする社会保障的な給付の対象からも除外されることになります。
 このような措置をとるとすれば、少なくとも、それに先だって「難民の地位に関する条約」から脱退し、日本が「難民」的地位にある外国人への差別を当然とする人種・民族差別国家であることを内外に広く宣言すべきでしょう。

井形 和正さん
国連の人種差別撤廃委員会等から、日本政府に対して、
朝鮮学校を無償化法から排除することは差別であり、是正すべき。」
という趣旨の勧告がこれまでに何度か出されています。
国連の他機関も含めて、無償化問題に対して、どのような内容の勧告を
何回受けているかお知らせください。
また、それに対してどの様な見解をお持ちか、お答えください。

吉原 ゆかりさん
高校無償化措置を朝鮮学校に適用することを求めます。

大河内 泰樹さん
その国の体制に問題があるとしてもその国民や、特に子どもに罪はありません。特定の国の学校を差別的に取り扱うことに正当性はないと考えます。
今回の省令改正は文科大臣が12月28日の記者会見ではっきり述べているとおり特定の国を標的とするものです。大臣は同会見で民族差別ではないと述べていますが、特定の国を排除することを目的として省令を改正するというのは明らかな民族差別です。本省令の改正は撤回されるべきと考えます。

大友 りおさん
いわゆる高校無償化の枠から朝鮮学校を排除することにより、いったい何が得られるのだろうか。朝鮮学校の生徒のほとんどが日本永住者であり、日本語を第一言語として話し、日本のポピュラーカルチャーに親しんで育っている若者である。無償化からの排除がこの若者たちに送るメッセージは、自分とは何かという問いと日々格闘している十代の人間にとっては、恐ろしく敵意に満ちたメッセージに違いない。日本の主流の教育が、未だに右翼思想の若者を一部に生み出すように、朝鮮学校の教育も、また様々な思想の持ち主を生む。現代日本に住む若者は、朝鮮人学校の生徒を含めて、大人たちが思うよりずっと柔軟な考え方を持ち、自分で判断するスキルを持っている。朝鮮の言語と文化を学ぶことは、日本の言語と文化の中で生活する若者にとって、自分で判断する力を高めるだけでなく、主流の日本文化を豊かにする原動力にもなるはずだ。無償化からの排除は、異文化を抹殺し、単一文化の社会を作りたいという、非常に臆病で、近視眼的な動きである。政府が国民に対して長期展望とビジョンを提示するためには、自信をもって異文化を共に学ぼうという本当の意味での強さが必要だと考える。朝鮮学校以外のいわゆるインターナショナルスクールは、経済的に豊かな日本人と、一時滞在の海外転勤者の家庭の子供たちの教育が中心で、朝鮮学校の教員が直面する現実とは異なるのであるが、それでも、国内に許容する異文化教育としてみれば、同じ構造であろう。それを排除する動きをすることは、枝葉は異なれど、北朝鮮と根を同じくした政策だとも言えるのである。

匿名
適用対象から項目(ハ)を除くことに反対します。
いま敢えてこれをはずすだけの合理的な根拠が示されていません。
適用対象は極力広く平等であるべきであり,そのために項目(ハ)を維持することが望ましいと考えます。

本橋 哲也さん
公立高等学校の「無償化」制度から朝鮮学校を除外することは、グローバルな国際化が既定の事実となった現状において、日本国民が植民地支配責任をいまだに果たしておらず、脱植民地化に努めていないと諸外国に非難されても当然の施策であると思います。またこの問題は国連の「人種差別撤廃委員会」から日本政府に勧告があったように、人種差別問題でもあります。そもそも教育や福祉、生存のような人間の基本的権利に関わる問題を「パブリックコメント」を募集して「賛否両成敗」してしまおうという姿勢そのものが、日本政府の人権感覚の欠如を示していると言われてもしかたがないのではないでしょうか。このような姿勢を内外に明らかにしてしまう愚かな施策をとらず、一律に無償化を適用することこそが、いま日本国民と日本政府に求められている賢明な態度であると考えます。

小松原 織香さん
日本で暮らす子どもたちが、生まれや国籍、ルーツに関わらず、授業料の心配なく希望の学校に進学できるように制度改正することを望み、朝鮮学校や対象から外されているブラジル人学校に、無償化を適用することを求めます。

吉田 正純さん
朝鮮高級学校等の無償化除外は、日本国も批准する国連子どもの権利条約第28条のすべての子どもの中等教育の機会の保障、および第30条のマイノリティが「自己の文化を享有する権利」を、明確に否定するものです。また日本の教育政策における、マイノリティの文化・歴史への配慮に欠けた、単一民族主義・同化主義的な傾向によって、すでに朝鮮学校を含めた民族教育は長年にわたって不利益を受けてきたことを無視するものです。そもそも教育目標・教育内容をもって無償化の基準を判断するわけではないのに、ことさらに民族学校のみの問題点をあげつらうこと自体が、不当な政治介入です。加えて朝鮮民主主義人民共和国との国際関係を理由に、子どもたちや学校・保護者への差別・排外主義的な攻撃が繰り返されていることに、政府・文科省が抗議するどころか「お墨付き」を与えることにもなります。不当な省令案(項目削除)を撤回し、即時無償化を実施することを求めます。

伊田 広行さん
授業料無償化で 朝鮮学校は対象にしないことに反対します。それは民族差別です。差別でないと言おうと、説得力はありません。客観的には差別であり集団的ないじめです。子供たちにどんな影響があるともいますか?日本人社会が差別してきたと思うでしょう。当然です。生徒個々人には責任はないが、とにかく国が悪いから連帯責任だというような発想は、教育の場であってはなりません。日本人の多数の支持が得られるから実施するという類の問題ではなく、ひとしく日本社会に生きる子どもたちに高等教育を平等に保障すべきなのです。排外主義的な対立をあおるべきではありません。庶民が個々のレベルで仲良くなり、尊敬しあい、友人になることで、不毛な政治的対立から戦争にならないような風土を作っていくべきです。

磯貝 治良さん
朝鮮高校に対する無償化適用除外に強く抗議します。
在住外国人に民族教育を保障することは、当該国政府の責務であり、国際的コンセンサスです。その権利を阻害したり、不利益を与えたりすることは許されません。ましてや政治的思惑によって差別的に判断するのは言語同断です。
経過措置をふくめて、朝鮮高校に即時、無償化を適用するよう強く求めます。

橋本 みゆきさん
パブリックコメント自体は1週間前に送ったので正確に記憶してはいませんが、趣旨だけでもお知らせしたいです)
高校無償化制度ができると知ったときは、外国人学校も対象となる点で開かれた制度を備えた国になることを、日本人である私も喜ばしく思いました。しかしその後の朝鮮学校除外過程は一転して、朝鮮学校の子どもたちや保護者を深く傷つけるものであり、同情するにあまりあるものです。これからでも改めて朝鮮学校にも教育支援金を適用してくださるよう強く望みます。

川村 肇さん
いわゆる「高校無償化」制度を朝鮮学校に適用しない方針は、あからさまな差別だと考えます。その上、子どもたちには何の責任もないのに一方的に不利益を被ることになります。こうした措置は、日本も批准している子どもの権利条約の精神にも反するもので、特に差別的な扱いを禁じている第2条に抵触します。また、国際人権規約(A規約)の中の、中等・高等教育についての無償化の漸進的導入(第13条(b)、(c))の留保については、2012年9月11日に留保の撤廃を国際連合に通告したばかりであり、政策の一貫性という観点からも整合性を欠くものであると考えます。それゆえ、この方針を撤回し、むしろ無償化の充実をこそ徹底すべきだと考えます。