要請書提出行動についてのご報告

 要請書提出行動について、ブログへの反映が遅くなってすみません。下記が11月19日に賛同者に送ったメールです。


 このたびは要請書に賛同いただき、あらためてお礼申し上げます。11月11日からの4日間で、796名の賛同を得ることができました。11月15日(木)に要請書と賛同者名簿を文部科学省に提出しましたので、以下、報告します。

 11月15日は、呼びかけ人のうち、関東在住の6名(鵜飼哲内海愛子、坂元ひろ子、高橋哲哉、中野敏男、米田俊彦)が文部科学省に集合しました。当初、提出は11時を予定していましたが、実際には11時をかなり回った時刻から始まりました。これはメディアの撮影許可について文科省側が手間取ったためでした。

 今回出てきたのは初等中等教育局高校教育改革PT財務課高校修学支援室長の水田功氏でした。一見穏和でしたが防御が固く、残念ながら、限られた時間で十分に情報は引き出せませんでした。「現状は先日の国会での田中大臣の答弁通りである」、「審査の現段階については他の団体に対してもそうだが今言うことはできない」、「年度が変わるごとに書類は再提出になるので審査も一からやり直しになる」、「報道などで指摘されることがあるため、法律に適っているかどうか教育および学校運営について審査する」といった説明に終始していました。また、「2010年11月5日に公表した規程および文科大臣談話は踏襲している」、「高校の課程に類する課程であることを制度的、客観的に審査している」、「国際人権規約との整合性は法制度上はもはや不備はなく、基本的に運用の問題であり、時間がかかっているだけである」といった認識を示しました。

 それに対し、原則的に適用すれば済むはずの問題が政治に振り回され、適用が遅れていることが地方自治体の補助金打ち切りに波及し、生徒・保護者にいっそうの苦境を強いていることについて見解を求めたところ、「待たせていることは申し訳ないが、補助金打ち切りは各自治体の判断であり、事態を把握はしているが文科省に直接責任があるとは考えていない」という返答がありました。また、適用の遅れ自体が子供たちにとって取り返しのつかない被差別体験であり、このことについて謝罪する必要があるのではないか、この悪循環を断ち切るには勇気が必要なのではないかという問いかけに対しては、曖昧な返答に終始していました。こちらからは再三審査の段階について、あと何が残っているのか等たずねたのですが、「審査がいつまでも続くということはない」、「すでに適用したところに対しても留意事項の確認や改善をうながす等の事後の働きかけはあり、朝鮮学校についてもたとえ適用してもそれで終わりということにはならない」というようなニュアンスの発言以上は引き出せませんでした。

 最後に、要請書の(2)にある遡及的適用については、「財政上あらためて検討する」と述べた水田氏の発言に対し、会談に立ち会っていたもうひとりの若手の職員が、「予算措置は会計年度ごとになされるので、過去の給付予定分はすでに返納されている」と発言を訂正していました。

 その後、文部科学省内で記者会見を開きました。当番社である産経の記者からは「なぜこの時期に要請行動を行うのか」という質問が、テレビ朝日の記者からは朝鮮学校における肖像画問題や教育内容に関する質問があった程度でした。あいにく衆議院解散・総選挙の話題に圧倒され、報道としては『朝鮮新報』(電子版は11月16日付)に「〈高校無償化〉日本の大学教員ら、首相、大臣らに要請書提出」との記事が出ただけでした。

 文部科学省としては、審査を政治的・意図的に遅延させているとすれば行政手続上の責任を問われるため、審査はしているが手間取っていると弁明せざるを得ない状況に置かれていると考えられます。審査規程が公表され、朝鮮学校が申請をしてから約2年、菅直人前首相が審査の再開を指示してから約1年3ヶ月も結果が出されていないこと自体、極めて異常なことです。今回、文科省は何度も「報道で指摘されることを審査している」という旨を説明していましたが、このことは、朝鮮学校に対する悪意ある報道が、審査遅延の口実を提供していることを意味しています。政治・行政・マスコミが三つ巴で制度的差別を作り出しているといえます。

 政局の如何に関わらず、わたしたちは引き続き要求を訴え続けていかなければならないと考えています。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。

呼びかけ人一同