3月4日提出行動のご報告

 3月4日、「朝鮮学校への「高校無償化」制度即時適用を 求める大学関係者の要請書」を提出するため文部科学省に要請行動 におもむきました。参加者は中野敏男、坂元ひろ子、米田俊彦、外村大、鵜飼哲の5名でした。文科省から出席したのは高校無償化支援室室長補佐の河村雅之氏でした。

 会見は11時30分より約30分にわたって行われました。われわ れの入室と手渡しの場面をテレビ朝日が撮影しました。最初に要請 書を手渡し、1000名を超える賛同が得られたことにみられるように、問題発生の1年後にも大学関係者の間でこの問題に関する関 心が高いことを指摘しました。そのうえで、政府による審査手続き の中断をあらためて批判し、
1)「高校無償化」制度が謳うところ の「全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会」の 確立のためには制度自体が不動の原則の上に打ち立てられなければ ならず政治情勢の動向に左右されてはならないこと
2)特定扶養 控除の増税に加え、この間の政府の対応が東京、大阪などで補助の 中断を引き起こし、「高校無償化」政策が不条理にも朝鮮学校の生 徒および保護者にとって大きな負担増を招いた責任はきわめて重大 であること
 の2点を口頭で補足しました。

 それに対し河村氏は、昨年4月以降の文科省の取組みの経緯を振り返り、有識者会議を経て11月5日に適用基準が決定されたが北朝 鮮による砲撃後総理大臣の指示で審査プロセスが停止され、いまだ 政府内で砲撃以前の状態に復帰したという確認がなされず、再開に 向けた合意が取れていないという説明を行いました。朝鮮学校から 申請書は届いており、支給額も予算に積算はされていて、政府としても出さないと言っているわけではない、ただ、現状では早期の解決は困難であるという見方を示しました。地方自治体の対応については国から意見を言える事柄ではなく、神奈川のように最終的に補助を継続する決定を下したところもあるといった返答で、われわれ の指摘に正面から応じる姿勢は見られませんでした。総じて、文科省としてはやるべきことはやったが今は如何ともし難いという対応 に終始していました。

 さらにわれわれの側からの本年度の卒業生に対する支給についての質問には、ともかく決断を下したわけではないという返答しか帰っ てこず、また、この審査中断が民族差別であり人権侵害であるとい う自覚はあるのか、これでは文科省としての仕事ができないという 気持ちはないのかという問いかけに対しては、審査過程の再開を急ぎたいという気持ちはある、ただし、2月9日の官房長官発言にあったように「国民の生命と財産」への配慮も無視できない、その一方「現場からの声」も届いており、「総合的」に判断することに なるだろうという返答でした。さらに、文科省で埒があかないので あれば首相官邸に言うしかないのかという質問には、2月26日に 集会があったことは知っているという返事で、官邸への要請を確認 しているということを示唆したものと思われます。

 最後に、たとえ 戦争中であれ民族差別は許されないという指摘に対しては、もはや有意味な応答は返ってきませんでした。

 その後、12時過ぎより記者会見を行いました。