ご報告(3月19日)

 以下は賛同者に宛てて送ったメール(抄)です。


 表記の要請書へのご賛同をありがとうございました。
 私たち呼びかけ人の予想をはるかに越えて次々と賛同のメールが寄せられ、わずか3日間で1000名近くの方から賛同をいただきました(締め切った後にも届いた賛同をあわせれば、1000名を超えました)。
 短期間の呼びかけでもありましたので、個々の賛同メールへのお返事はいたしませんでしたが、自分のメールが確実に届いているかどうかは下記のブログ上の賛同者一覧(匿名を希望された方は記しておりません)にてご確認ください。
http://d.hatena.ne.jp/mskunv/
 なお、ブログ上の記事の内、賛同者一覧については、しばらくしましたら一般公開は停止する予定です。
〔…〕
 以下、昨日の要請書提出と、記者会見についてご報告させていただきます。

【1.記者会見】

 昨日の要請行動に参加したのは、呼びかけ人のうち、鵜飼、米田、中野、坂元、高橋、三宅の計6名でした。
 なお、本来ならば要請書を提出し、その後に記者会見ということになるのですが、記者会見室の予約の関係で、記者会見が要請行動より先に、10時30分より行われました。そのことが、後述するように、要請書提出に先だって文部科学大臣の認識の誤りに気づかせてくれる結果になりました。

 記者会見に出席したメディアは朝日、毎日、読売、産経の各新聞社と共同通信、代表幹事社のテレビ朝日、それにTBSの撮影が入りました。
 趣旨説明は、事前に準備した説明用資料にもとづいて鵜飼が行いました。説明のあと、代表幹事社のテレビ朝日の記者から、これから面会する官僚の職位および名前のほかに、下記の2点の質問がありました。

1)朝鮮高級学校に支援金を給付すると、日本が経済制裁を課している北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)に送金される危険があるという意見があるがどう考えるか。
2)川端文部科学大臣衆議院における審議において、各大学における「個別審査」とは個々の学生に対する審査のことであり、朝鮮高級学校に対する審査ではないと答弁している。これは要請書の説明と食い違うが事実はどうか。

 1)に関しては、普遍的な人権および教育の理念にもとづく文教政策はそのような憶測に左右されてはならず、無償化政策の適用はあくまで朝鮮高級学校で学ぶ生徒の立場にたって判断されるべきであり、国家間の係争に判断基準における優先順位を与えてはならないと返答しました。
 2)については、個々の学生に対する審査は入学試験で行うものであり、ここで問題となる「個別審査」とは、私たちの要請書にある通り、各大学が高等学校専修課程の基準を準用して朝鮮高級学校に対して行ってきた審査を言うのであり、川端大臣の答弁は事実誤認にもとづくものであるという指摘がなされました。

 現時点で、「呼びかけ人」サイドで把握している報道は次の記事のみです。他にもございましたら、ご教示ください。

○「<高校無償化>朝鮮学校にも適用を 大学教授らが首相に要請」(毎日新聞、3月18日19時16分配信)

【2.文科省での提出】

 その後、11時30分から30分あまり、文部科学省旧省舎の応接室で、要請書および資料一式の手渡しと、若い官僚の方との討論の時間を持ちました。
 今回面会に出てきたのは、初等中等教育局初等中等教育企画課の高橋洋平氏、同、江間啓智氏の両名でした。受け答えはすべて、高橋氏によってなされました。文科省側はすでに要請書に目を通していたので、こちらもその場で読み上げることはせず、記者会見時と同様の趣旨説明を鵜飼が行いました。文科省側の応答は次のようなものでした。

1)高等学校等支援金の給付は、各家庭に支給すると教育費に使われないおそれがあるので各学校に支給されることになる。法案の2条5項に規定された「各種学校」は省令によって無償化政策の対象となる。目下文科省では、どのような省令によるならば朝鮮高級学校を無償化政策の対象とすることができるか、その方法を検討中である。
2)文科省としては、国交がないこと、民族教育が行われていること、拉致問題が未解決であることは、朝鮮高級学校を排除する理由として考慮していない。先生方から見ると不十分かもしれないが、川端大臣も答弁でそう述べてきた。
3)しかし、無償化に関する法律は、明日から参議院で審議入りし、4月1日施行を目指している。その段階で省令も官報に掲載しなければならず、時間的に切迫している。
4)とはいえ、一部で報道されており要請書でも言及されているような、「第三者評価組織」による検討という方針は文科省では確認していない。「客観的システム」(評価基準)によって判断するという鳩山首相の発言は、「第三者評価組織」による検討と同義ではない。
5)大学において朝鮮高級学校卒業生に実質的に受験資格が与えられていることを、この客観的評価基準に参考として加味するか否かはまだ決めていない。
6)上層部の議論は自分たちのような下部の官僚には見えにくいが、いずれにしても、文科省として、すでに排除を決定しているということではない。
7)このところ、朝鮮高級学校の排除を要求する激しい電話が頻繁にかかってきている。文科省はそのような圧力とは別の次元で作業を進めている。

 ほぼこのような内容であり、それに対し、参加した呼びかけ人から意見表明を行いました。

【3.あらためて浮上する大学入学資格問題】

 今回、「大学教員」としての立場から要請するにあたって、あらためて大学入学資格問題で残されていた課題が浮上してきました。

 2003年に外国人学校の大学入学資格をめぐって大きな議論となったことはご承知かと存じます。当時も、やはり「拉致」問題との関係で入った横槍もあって、朝鮮高級学校についてのみ、「教育課程について、公的ルートでの確認が困難」という理由で、各大学の「個別審査」に任されることになりました(下記のページを参照)。
http://www.jca.apc.org/~itagaki/racism/

 その後、各大学がこの「個別審査」を通じて、朝鮮高級学校の入学資格を認めてきました。たとえば、九州大学京都大学などでは各朝鮮高級学校の卒業者に入学資格を自動的に認定することとしており、そのことを入試要項にも記しています。その際の「個別審査」とは、個々の生徒を審査するのではなく、その生徒の出身学校のカリキュラムが高等学校と同レベルといえるかどうかを調べるものであることを明確にしています。たとえば、京都大学の場合、一度「個別審査」を経た学校の出身者は、その後、出身教育施設の規則や出身教育施設のカリキュラムも提出しなくてよいことになっています(下記を参照)。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/admissions/undergrad/requirements/past/requirements_h20/h20yoko02.htm/

 こうした各大学の措置の結果、事実上、朝鮮高級学校の大学入学資格は認められてきたし、それを文科省が追認してきたことは「要請書」で論じたとおりです。しかしながら、外国人学校のなかでも朝鮮学校が制度的に例外扱いとなっている点においては、依然として変化がありません。川端大臣の発言が示唆するのは、ともすればこの大学入学資格の例外扱いという前例が、「高校無償化」の適用除外の「客観的基準」として転用される可能性もあるということです。したがって、それを既成事実化させないことが、この「高校無償化」問題とも関わって、大学教員の課題としてあらためて浮上してきているように思われます。

 朝鮮高級学校の高校相当の学校としての位置づけを明確にするために、まずは公・私立大学を含めて、朝鮮高級学校出身者が不利益を受ける仕組みになっていないか、あらためて検討する必要があるといえます。その際に、一般入試だけでなく、推薦入試などの特別入試にも留意する必要があります。ぜひ賛同者のみなさんに各大学の状況を検証していただき、現状と問題点を、私たちのもとにご連絡いただければ幸いです。

 今回の要請書の範囲を踏みこえるものではありますが、そのことが、現行の大学入学資格における朝鮮学校の例外扱いを撤回させる力にもなりますし、それが「高校無償化」の適用除外案への有力な批判の力の一つとなると考えます。

呼びかけ人(あいうえお順)

板垣竜太(同志社大学)、市野川容孝(東京大学)、鵜飼哲一橋大学)、内海愛子早稲田大学)、宇野田尚哉(神戸大学)、河かおる(滋賀県立大学)、駒込武(京都大学)、坂元ひろ子(一橋大学)、高橋哲哉東京大学)、外村大(東京大学)、冨山一郎(大阪大学)、仲尾宏(京都造形芸術大学)、中野敏男(東京外国語大学)、藤永壮(大阪産業大学)、布袋敏博(早稲田大学)、水野直樹(京都大学)、三宅晶子(千葉大学)、米田俊彦(お茶の水女子大学

18日(木)に文科省に提出行動を行います

記者会見
 時間 10時30分〜  
 場所 文部科学省記者クラブ

要請書提出
 時間 11時30分〜12時
 
※記者会見、要請書提出には一般参加できませんのでご了承ください。後日報告いたします。
※会場の関係で、要請書提出前に記者会見することとなりました。

提出行動延期のお知らせ

 呼びかけメールでは16日に要請書の提出を予定していると書きましたが、提出先との日程の調整が付かず、18日(木)を候補として調整中です。日程が確定次第、賛同者の方にご連絡させていただきます。
 なお署名の集約作業のため、賛同の募集は17日朝をもっていったん打ち切らせていただきました。ありがとうございました。

メッセージのダイジェスト

 これまでに送っていただいたメッセージのダイジェストです。


 市民のなかにある人種差別を政府が制度的になくしていくことが政府の役割ではないでしょうか。政府が率先して人種差別的な政策をとりはじめたら、社会のなかにある人種差別を正統化することになってしまいます。教育は人種差別の不当さを学問をつうじて学ぶ場でもあり、そこから特定の人々を排除することは、教育への権利の否定にもつながり、許容されるものではありません。


橋下大阪府知事宛てのにも署名したい!


日本列島に住む仲間として、あらゆる子どもや親たちとのことを考えていきたいと思います。よろしくお願いします。


 日本政府がもし「高校無償化」対象から朝鮮学校を除外したら、日本は中世の社会だということになるでしょう。国際社会、とりわけ国連のメンバーの資格を失うでしょう。私は9日からストックホルムに来ています。スウェーデンの研究者や市民に、この話をすると、「日本は民主主義体制の国だと思ったが、どうしてそういうことが可能になるのか」と、外国人の子どもたちと、日本国籍者を分ける発想自体が理解できないと、驚き、呆れています。特に、日帝の強制連行などで日本に移り住まざるを得なかった朝鮮人の子孫である在日朝鮮人の若者に対し、教育を受ける権利を排除するのは、絶対に許されないことです。
 こちらでは、本人が希望しなくてもimmigrantらに、出身国の言語と文化を義務教育で教えています。最近になって、外国人にスウェーデン社会についての勉強もしてもらうことを始めたそうです。日本と正反対の考え方です。イラクソマリアから様々な理由で出国した市民を計10万人近く受け入れているそうです。
 もともと公教育は大学院まですべて無料で、「国籍」を問題にして、公的サポートをするかどうかの議論そのものがありえません。
 朝鮮を侵略してから100年の今年に、このような非人間的、冷酷、理不尽な“切り捨て”が議論され、大阪の知事のような人種差別主義者がまかりとおる日本社会を、根本的に変革することが求められています。


高校無償化を全ての高校生に。未来に生きる高校生に「江戸の仇を長崎で討つ」ような「大人げない政治」をして夢を奪わないでください。


 朝鮮学校の生徒たちとはバスでよく一緒になります。お行儀のいい子ばかりではないですが、まぶしいほどの若さが溢れる若者たちです。彼ら/彼女らがこの日本で、他の同世代の高校生と同じ土俵の上で切磋琢磨し、自分たちの歴史・伝統に誇りを持って生きていけるよう願っています。


「いのちを守りたい」という高邁な施政方針演説が、単なる誇大妄想であったとは思いたくありません。ましてや、「朝鮮人以外のいのちを守りたい」というレイシズムの発露であったとは信じたくありません。ぜひとも、年初に公言された理念の通り、「差別や偏見とは無縁に、人権が守られ基礎的な教育が受けられる、そんな暮らしを、国際社会の責任として、すべての子どもたちに保障して」いただきますよう、鳩山首相に深くお願いします。


1.多文化共生を政策に謳っている現在、民族の言語や文化を尊重する教育を行う朝鮮学校を「高校無償化」就学支援対象から除外しないでください。
2.子どもの権利条約に批准しているのですから、子どもの教育権を侵害しないでください。


 高校無償化における朝鮮学校除外問題、それに関する橋下大阪府知事を初めとする公人の暴言問題、何かしなければと思いながら具体的なことはできずにおりました。この度は賛同する機会を与えていただきありがとうございます。
 報道を見ていると、このままでは各種学校として認可されわずかながらも地方自治体から出されている補助金までもが支給停止にされかねないような、無茶苦茶な「理屈」によって、無償化対象除外がなされようとしていることに、本当に怒りを覚えます。
 要請書にあるとおり、「高校の課程に類する課程」であるかどうかについては、大学受験資格問題において「すでに解決済みの問題」であるにもかかわらず、そのことをほとんど報じないなど、マスコミにも大いに問題があると思います。
 微力ながら、要請書への賛同を身の回りに呼びかけたいと思います。


 あのような暴挙が行われること、「石まで叫ぶ」はずですが、橋本知事のファッショ的な言動に賛辞を送ったり、メディアが抗議できなかったりする状況、残念でたまりません。なによりも学校に通学している生徒たちの気持ちを考えると申し訳ない気持ちで一杯です。日本社会が「お前たちの存在を認めないぞ!」と言うメッセージを伝えている意味により多くの人々に気づいてもらいたいものです。政権交代しても、「草の根の日本中心のファシズム」は不変なのかと暗澹たる気持ちになる一方、これをチャンスに反転させる契機にしたいと考えます。まず、自分の置かれた地域で何らかの「否!」の声を挙げる取り組みを開始します。


アメリカで教鞭をとりつつ、現在の朝鮮学校の「高校無償化」措置からの除外の動きについて、たいへん心配しています。現在、この問題を私の大学の授業でも扱っていますが、アメリカ人の学生たちからも、拉致問題と学生は直接関係ないのだから、拉致問題を理由に、高校生の教育に影響がでるなどということはおかしいのでは、という意見が大多数となっています。また、ここ〔地名省略〕は先住民も多い土地柄であり、先住民の言語・文化が民族教育なしでは失われつつあること、また、先住民のニーズにそった高校教育が必要であることを、先住民の学生たちを大学で教える立場からもひしひしと感じます。むしろ、民族教育なしでは失われてしまうかもしれない、在日朝鮮人の言語や文化という状況を考えるならば、率先して政府が民族教育に対して補助を与えるべきなのではないかと思われ、無償化からの除外などとはもってのほかだと考えます。そして、実際、〔地名省略〕州政府は先住民の教育に関しては、いろいろな補助を行っています。文化人類学者としても、「多様な民族的・文化的バックグラウンドを持つ人びとが相互に対話できる空間を創造」という理念の重要性を述べた、要請書に賛同します。


本日報道されたように、日本が1995年に締結した人種差別撤廃条約の国際監視・審査機関である人種差別撤廃委員会が、高校無償化の対象から朝鮮学校を除外するのは、同条約違反に当たるとして日本政府に改善を勧告するとのこと。多言を要するまでもなく、またもや「人権赤字国」日本を象徴するかのような行為は、直ちに改めるべきです。


 差別・排除を伴った「無償化」には、何の意義も感じられません。この問題は、日本社会にとって、とても重大な岐路だと感じます。


 これ以上日本社会に失望させないでください。


 今回の問題は植民地宗主国としての日本がかかえる「後遺症」もしくは「社会的記憶障害」の病理現象だと考えています。治療法は基本的事実を正しく認識し、その情報を広く共有していくことしかないのかなと思っています。時間がかかりますが。「後遺症」克服のための活動の一環として、今回の要請書に強く賛同するものです。


 このような理由で朝鮮学校だけを外すなど、あり得ない差別です。朝鮮学校に通う子供たちも将来にわたって日本社会を生きる一員であることを忘れないでほしい。外されたと知った子供たちがどう感じるかも想像してみてはどうでしょうか。


私の勤務している〔大学名省略〕大学には、多くの朝鮮学校出身の学生が学んでいます。彼ら、彼女らが、繰り返される「拉致」報道のなかで思春期をくぐりぬけてきたことを思うと、教員として胸が痛んでなりません。「拉致」問題と朝鮮学校やその教育を断じて結びつけてはならないということこそを、政府は第一に明言すべきではないですか。今回の「高校無償化」の就学支援対象から朝鮮学校を除外しないよう、強く要望します。


私は朝鮮人の父から生まれました。それでなくともあらゆる差別に負けず勉学に励んでいる若者にたちに対し、知事たる者が自ら差別を肯定・助長する考えを示すなど、信じられない思いでいます。正義とは、人種、血統を越えて示されるべきものではありませんか。すべての子どもたちに尊敬される大人として、ただちに撤回、謝罪をしてください。


日本政府は、国連「人種差別撤廃条約」(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 1966)を批准したのではなかったですか。国の教育支援政策から特定の民族・文化集団を排除することは、同条約第2条、第5条d(vii)およびe(v) 、第7条に対する明白な違反です。また国がこのような措置をとることは同条約第4条が禁止する「憎悪思想の流布・助長・扇動」にあたります。逆に、同条約第2条第2項により、無償化措置に朝鮮高校を含める措置をとることが締約国の義務です。


社会権的基本権たる教育を受ける権利は、弱者が「知を力」として、権力からの自由を獲得するための権利です。教育内容を国家が選り好みして無償か有償かを決すること自体が、社会権的基本権を理解しない行為ではないでしょうか。日本が人権後進国とならないよう、基本的人権の原則に基づいた決定をされることを求めます。


 文科省も当初は、朝鮮高校を含める方針だったといいます。問題がなかったからでしょう。それがこのように混乱したのは、中井氏が自らの政治力を誇示し、タカ派にアピールするために余計な発言をしたからで、合理的な理由は全くありません。あろうことか、鳩山首相までそれに「迎合」してしまいましたが、いったい、「友愛」はどこに行ったのでしょうか。
首相がやるべきことは、朝鮮学校を含めることを明確にするのはもちろん、問題の根源を考えることです。つまり、もし「友愛」という理念を捨てず、それに基づいた政治・外交を行おうとするならば、いまだに不幸な関係にある北朝鮮との国交を正常化するために、もっとまともな人たちの声を聞き、先頭に立って努力することです。今年は「韓国併合」から100年にもなるにもかかわらず、自民党政権時代と変わらず、このようなことが起こるのは悲しむべきことです。


外国人参政権法案への対応も含め、官民による植民地主義を内在化した排外主義の蔓延に気が滅入っていますが、これ以上の排外主義を許さないために、日本社会からたくさんの声があがってほしいと思います。


日本の民主主義の質が問われている問題だと思います。日本の民主主義をバージョンアップしていくためにも「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求めることを強くもとめます。


今回の中井大臣を初めとした一連の発言は、子どもの人権・マイノリティの教育権・朝鮮学校の歴史的経緯などを無視した、あまりにも酷い発言です。このような差別的措置は、断じて許してはならないと思います。 大阪府知事に至っては、こうした発言の尻馬に乗って、民族教育つぶしを目論んでいるとしか考えられない行動を行っております。マジョリティの変革なくしては差別はなくならないにも関わらず、日本社会は、その反対の方向に向かっているのではないでしょうか?真の共生社会の実現のためにも、「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求めます。


高校無償化政策は、日本において認可された学校に通学する子供に教育の機会を保障するものであり、教育の内容によって判断をするというのは論点がまったくずれてしまったと言わざるを得ない。教育内容ということで言うならば、日本国家に対する忠誠(国旗、国歌)を示すこともまたいずれは判断の材料にしてしまう恐れすらあるものであり、朝鮮学校に対する審査については到底賛成出来ないと言わざるを得ない。


「高校無償化」の就学支援対象から朝鮮学校を除外する方針は、植民地支配の歴史を背負わされてきた在日朝鮮人への差別・抑圧そのものです。北朝鮮の政府担当者でもない朝鮮学校の生徒たちに拉致問題の責任を押し付けることは全くの筋違いであるし、歴史的・国際的観点から見ても極めて愚かな政治判断です。事実この問題は、2月24日にジュネーブで開催された国連人種差別撤廃委員会で急きょ取り上げられ、各国委員からの厳しい批判にも晒されているではありませんか。 国際基準に照らせば重大な「人権侵害」だということです。鳩山首相は、当初から朝鮮学校の除外を匂わせてはいましたが、予算案に組み込まれていたにも関わらず、結果的には第三者機関の中身も明確に示すことなく除外したうえで、曖昧なままに放置する方向性を選択しました。問われるべきは首相自身の歴史に対する姿勢、植民地史、在日朝鮮人史に対する姿勢であり、結果的に朝鮮学校を除外するということになれば、首相は政治理念である「友愛」「共生」を自ら否定することになります。強く再考を求めます。


「日本」という国家の為政者たちが、所属政党の如何を問わず、これほどまでに破廉恥になりうるものか、開いた口がふさがらない思いです。この国家社会が、歴史的な責任を果さぬまま、新たな歴史的罪業を重ねることを、私は座視することができません。


 「どうせ、俺らなんか」。
 こうしたつぶやきを生み出すことのない、教育制度が必要だと思います。


「無償化」外しは教育問題ではなく政治問題です。日本国家は、朝鮮民主主義人民共和国による「拉致」や核開発を口実とする経済制裁の標的に在日朝鮮人コミュニティを選んできました。侵略国家の逆ギレとも言うべき暴走が、ついに(いえ、ふたたび)民族学校に襲いかかろうとしています。鳩山さん、川端さん、平野さん。昨年の12月、極右団体による京都朝鮮第一初級学校襲撃事件が発生しました。YouTubeに動画があります。見てください。あなたの鏡がそこにあります。こんなことを許してはなりません。そしてまた、朝鮮民主主義人民共和国への経済制裁朝鮮総連弾圧、朝鮮学校差別を、ただちにやめなさい。


「高校無償化」の就学支援から、朝鮮学校を除外する理由は全くありません。この背景には、『抑止力』やその前提となる、『仮想敵国』論を「高校無償化」の就学支援と結びつけようとする政治的意図 が見え透いていると、思います。


遠い将来、東アジア共同体という大きな夢を実現してくれるのは、すべての子どもたちです。日韓併合100年という重要な年に、将来にわたって禍根を残すような決定をしないで下さい。


敵対性の政治がマイノリティに対してなされることは容認できません。


日本社会は今や第三の開国と言える時代に突入している。排外主義はもはや日本社会では通用しないであろう。


子どもの権利条約に抵触するような、高校無償化における朝鮮学校の「排斥」をやめてください。
高等専修学校が無償化の対象になったことを歓迎します。同様に、
朝鮮高級学校も無償化の対象にすることを要求します。
国籍・民族など問わず、すべての青年達に等しく後期中等教育の無償化の実現を。


朝鮮高校の卒業生です。過去の教育内容に偏向があったとして、それは現在学校に通う子供達が責任を負うべきないのは無論です。最大の問題は、彼らが日本の政府や社会からこうして繰り返し「排除」のメッセージを受け取ってしまうこと。「カウンタ―な存在」としてしか自己確立できないという悲劇。しかし否定され続けて人は生きられない。国家によって存在を否定されたら、それに対抗しうる別の国家を拠り所に求めてしまう。超越しようにも歴史の事実であり、今も続く現実です。こうして朝鮮学校の子供達は互いに排除しあう選択肢、「どちらの国に属するか?」という究極の二者択一を日々迫られて生きざるを得ない。二重の悲劇です。自らの父母のルーツを学ぶという、人として当たり前の権利が、国家間の駆け引きに相変わらず翻弄されている。経済的負担、日本社会での様々なチャネルからの排除、無理解、敵視、侮蔑、歪曲…。「朝鮮人である自分」を知るために払う代価は余りに大きく、それゆえにいつまでも彼らをそこに縛り付け、ほんの始まりにすぎないことが教育の「全て」になってしまっている。今回の朝鮮高校「除外」案はこれを更に正当化し、強化するものに他ならず、憤りを感じます。法案の本旨に照らし、制度の平等な実現により、彼らがこうした「排除」の呪縛から逃れ、この世界で生きていくための学びの一歩を踏み出すよう願ってやみません。


拉致問題という人権問題を解決するのに、教育という人権を盾に取るのは賢明ではないと考えます。北朝鮮政府に人権の擁護を強く要求するためには、まずわれわれが人権にあらゆる配慮をしなければなりません。


2007年度まで朝鮮大学校で非常勤講師を務めていましたが、初級学校から大学校まで概ね日本の学校教育の体系に沿ってカリキュラムが編成されています。今回の件は、教育内容を確認しない、政治的理由に基づく不当な差別です。


朝鮮学校生の保護者も税金を納めているはず。理由にならない理由で除外すれば、日本がならず者国家になってしまいます。また朝鮮学校生は卒業後も日本に居住される場合がほとんどだと思います。このような形で疎外感を味あわせて何の得があるでしょうか。せっかく多額の税金を使って高等学校等就学支援金を支出するのであれば、効果のある形で支給していただきたいと思います。


今現在、新潟の朝鮮学校においても同様なことが起こっており、学校の存続が危ない状況にもなっております。このような時期に「高校無償化」の就学支援対象から朝鮮学校を除外されると、より深刻な問題になると考えられます。また、こんな排外主義的なことをやっていては日本は世界の笑いものですし、「なぜ日本に朝鮮学校ができたのかという経緯を考えると、それを「弾圧・排除」しようとする日本政府の歴史認識のなさにあきれるばかりです。


 今回の決定に非常に落胆し、言いようがない怒りを覚えています。私は研究仲間として、バイト先の同僚として、友人として朝鮮学校出身の人たちと出会ってきました。かれらはごく健全な批判精神をもった、普通の「個性をもった若者」であり、この社会を一緒につくっていく大切な仲間だと実感しています。
 歴史を無視し、国際人権規約や子ども権利条約を反故にして、政府は何を守ろうとしているのでしょうか。声明にもあるとおり、在日の、とりわけ「朝鮮」と関係があるとみなされる人たちへのあからさまな差別はあまりにひどく、心がえぐりとられるような気分になります。今回の無償化除外の動きと決定は、そうした甚だしい差別に、政権が合理性を与えてしまうものともいえます。許せない。許せないという声がもっと日本社会から上がり、広がってほしい。悲しさや悔しさを(選挙権もない)当事者だけに押し付けてはいけないと思います。
 しがない非常勤講師の立場ですが、賛同させていただきます。


教育への権利が国籍や属性によって区別されることがあってはならないと思います。日本国憲法第26条の「すべて国民は」も何とかしなければならないのではないでしょうか。


朝鮮学校を無償化から排除することは、差別の動機を増大させ、開かれた民主主義社会を形成する上でマイナス効果しかないと思います。


 私は1999年〜2002年までアメリカ合衆国において日本語補習校(いわゆる日本人学校)で教鞭を執った経験があります。毎週土曜日に地元の小学校の校舎の一部を借りて開講されており、月曜日〜金曜日は生徒・児童は地元のアメリカの小学校に通っていました。
 補修校では小学1年生から高校3年生までの全校生徒が集まる学校行事の中では「当然のこととして」日の丸が掲揚され、君が代が歌われていました。
 また、私は高校1年〜3年生の授業を担当していましたが、日本語補習校で取得した授業の単位をアメリカの高校の正規の授業単位として読みかえるサービスまでなされておりました。
 翻って、日本の朝鮮学校に対する政府や一部保守派は「北朝鮮の政治指導者への個人崇拝を助長するものだ」という論調の一点張りです。もし、日本政府のような態度をアメリカ合衆国が取っていたならば、日本語補習校は「各種学校」であり、「大学受験資格も持たない特殊な教育を行う民族学校」として大学を受験することもままならなくなるでしょう。
 しかし、アメリカ合衆国の日本語補習校で教鞭を執る中で私は何人もの生徒をアメリカの大学に送り出し、多くの生徒たちは「日本とアメリカ、両方の文化を学べたことは意義が深い」と評価しています。
 アメリカ追随主義は私の好むところではありませんが、このような民族多様性に対するアメリカの寛大さ、理解の深さは日本政府が学ぶべきところではないかと考えます。


 韓国においても、日本の「高校無償化」措置から、朝鮮学校が除外されるかも知れないことが、大きく報道され注目されています。 
2010年03月01日 ハンギョレ新聞
[キム・ヒョスン コラム] 朝鮮学校と鳩山総理の友愛
原文入力:2010-02-28午後09:52:22(1604字)
キム・ヒョスン論説委員
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1071269.html
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/407353.html
日本による朝鮮半島の植民地支配という、過去の歴史を背負って生まれた朝鮮学校を、無償化から外すことは、在留外国人の民族的なアイデンティティの擁護という国際社会の動向から逆行することです。また、鳩山首相の東アジア諸国との友好、東アジア共同体への努力という姿勢からもはずれるものです。
「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを強く求めます。


I do believe that excluding the Korean national schools from the tuition coverage plan amounts to ethnic discrimination, and sincerely hope that this unwise move will be reconsidered by the governmental agencies involved.


朝鮮学校を除外するなんて発想が出ること自体びっくりというか、理解できません。除外するくらいなら無償化措置そのものを一度白紙に戻して見直すべきです。


日本政府が批准している「子どもの権利条約」に明らかに反している扱いですし、日本国憲法の精神にも反しています。他の国籍の学校に対してと違う扱いすることは教育に政治的な介入をすべきでないと宣言している教育基本法にも反しているのではないでしょうか。あらゆる意味で朝鮮高校の差別化は日本の民主主義のレベルの低さを国際的に示すだけです。


「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求める大学教員の要請書

○要請書(PDFファイル)はこちらからダウンロードできます。
要請書.pdf 直
New! 한국어판을 작성했습니다. 이 페이지 아랫 부분을 보십시오. 賛同者のお一人が朝鮮語訳してくださいました。ありがとうございます。
musanghwa.pdf 直


 「高校無償化」の就学支援対象から朝鮮学校を除外しないように求める大学教員の要請書を作成しました。
 要請書をお読みいただき、ご賛同いただけるようでしたら、3月15日(月)までに下記の要領にて、 メールでお送りください(事の緊急性に鑑み、期日までに届いた分を16日(火)には提出したいと考えています。短い期間ですがご了承ください)。

宛先: msk_univ@yahoogroups.jp
(↑@マークを半角にしてください)

お名前:
所属大学:
職位(任意):
メッセージ(任意):

*提出する署名にはお名前と所属大学のみを記します。職位(教授、准教授、非常勤講師等)はデータの客観性を担保するために念のために確認させていただくものです。不記入でもけっこうです。
 すでにいくつものの声明が出されていますのが、今回の呼びかけは「大学教員として」という立場からのものです。この場合の「大学教員」は広く「大学の教育・研究に携わる者」として、常勤、非常勤、有期雇用などの区別を問わないこととします。もちろん国籍や居住地も問いません。
*メッセージをご記入いただいた場合、政府に提出するとともに、報道関係者に公開する可能性があることをご了解ください。不記入でもけっこうです。
*最新情報は下記ブログにて更新予定です。
http://d.hatena.ne.jp/mskunv/


************************************

2010年3月16日

内閣総理大臣 鳩山由紀夫
文部科学大臣 川端達夫
内閣官房長官 平野博文

「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求める大学教員の要請書

 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」案(以下、「高校無償化」法案)が国会で審議される状況の中、鳩山内閣朝鮮学校高級部(以下、朝鮮高級学校)をその適用対象から除外する方針を固めたとの報道がなされています。私たちは、大学の教員として教育・研究に携わる者の立場から、朝鮮高級学校のみを適用の対象外とすることに反対します。

 現在、少なからぬ朝鮮学校出身者が国・公・私立大学において学んでいます。私たちは、大学の「国際化」という観点から、朝鮮学校出身者を含めて、多様な民族的・文化的バックグラウンドを持つ人びとが相互に対話できる空間を創造することこそが、大学人の責務と考えています。2月末には国連人種差別撤廃委員会において朝鮮学校の除外は人権保護の観点から問題があるという見解が表明されましたが、「子どもの権利条約」(1994年日本批准)において「民族上、宗教上もしくは言語上の少数者、または先住民が存在する国においては、当該少数者または先住民に属する子どもは、自己の集団の他の構成員とともに、自己の文化を享受し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、または自己の言語を使用する権利を否定されない」(第30条)と定めていることを思い起こす必要があります。私たちは、教育の理念は、「子どもの権利条約」や「人種差別撤廃条約」に示された普遍的な人権に基礎づけられねばならないと考えます。

 高校無償化の対象から朝鮮学校を除外するとすれば、すでに公立学校・私立学校にくらべて大きな経済的負担を強いられている朝鮮学校の関係者に、さらに大きなハンディキャップを課すことになります。くわえて高校無償化の財源を特定扶養控除の圧縮によって確保することになれば、朝鮮学校生徒の保護者にとってはむしろ負担増となります。個々人の出自や信条にかかわらず、多様なルートで高等教育にアクセスする機会が日本社会に在住するすべての若者に等しく保障されねばならないと私たちは考えます。

 朝鮮高級学校の除外案が、「拉致」問題と朝鮮学校とを結びつける発想から出てきていることは明らかです。外交ルートで教育内容を確認できるかどうかという基準は、朝鮮学校の排除という方針を別のことばで表現したものに過ぎません。また、政府が第三者評価組織を設け、朝鮮高級学校の教育内容が「高校の課程に類する課程」であるかどうかを判断するとの報道もありますが、すでに多くの国立大学が高等学校専修課程の基準(修了に必要な総単位時間数2590単位時間以上、普通教科の総単位時間数420単位時間以上)を準用して朝鮮学校の入学資格を認め、文科省もこれを認めてきた以上、これはすでに解決済みの問題です。つまり今回の政府案は、外交上で解決されるべきことがらを教育問題に不当にすり替えるものに他なりません。

 のみならず、私たちは、朝鮮高級学校の排除が、今日の日本における排外主義的な風潮と軌を一にしていることを憂慮しています。近年、在日朝鮮人に対して公然と差別的な言動を行なう動きが現れています。最近では、数名のグループが京都の朝鮮初級学校に押しかけて、「朝鮮学校を日本から叩き出せ」などの罵詈雑言を浴びせる出来事が起こりました。朝鮮学校除外を主張する日本政府および政治家の姿勢は、そうした排外主義的・暴力的な行為の裏付けにすらなりうるものであり、鳩山首相所信表明演説で述べた「友愛」の精神を自ら投げ棄てるに等しいものです。

 私たちは、鳩山由紀夫内閣総理大臣および川端達夫文部科学大臣平野博文内閣官房長官に対し、高校無償化制度について、朝鮮高級学校を含む全ての外国人学校を対象とする制度とするよう強く求めます。

呼びかけ人(あいうえお順)
板垣竜太(同志社大学)、市野川容孝(東京大学)、鵜飼哲一橋大学)、内海愛子早稲田大学)、宇野田尚哉(神戸大学)、河かおる(滋賀県立大学)、駒込武(京都大学)、坂元ひろ子(一橋大学)、高橋哲哉東京大学)、外村大(東京大学)、冨山一郎(大阪大学)、仲尾宏(京都造形芸術大学)、中野敏男(東京外国語大学)、藤永壮(大阪産業大学)、布袋敏博(早稲田大学)、水野直樹(京都大学)、三宅晶子(千葉大学)、米田俊彦(お茶の水女子大学

※署名の呼びかけに先立ってお願いしながらメールの不通などで連絡のとれなかった方に限って、呼びかけ人のお名前を追加いたしました。

賛同者一覧

賛同者一覧(最終提出版、992名)

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